ここに来るのは25年ぶりくらいでしょうか。
いま学んでいる八極拳を習う前、太極拳や蟷螂拳を習っていてその練習会場がこの店の近くにありました。
その中国武術の先輩が月に一度ここの豚カツをご馳走してくれていて、毎月のことなんでフリーターで金欠気味だったわたしは食べに来る日をいつも楽しみにしていました。
当時はＣのロース定食が1,400円くらいだったと思います。
その先輩もフリーターでそんなに余裕があるというわけでもないんですけど、いつもいちばん値段の高いＣのロース定食をご馳走になっていました。ご飯も大盛りで。
高いけど美味いんですよ、ここのロースカツ。
バイト代が入ったんでたまにはわたしが先輩にご馳走して喜んでもらえたらなと豚カツを食べながらその旨を伝えたら、「あほっ、お前に飯奢ってなんぞもらいたくないわ。」と言われました。
わたしがあからさまに怪訝な顔をしていると「俺もな、先生や先輩たちからいつもご馳走になっててな。コイツは見込みがあると思える後輩ができたら飯をご馳走してやれって言われてるんや。お前は俺に飯を奢るんやなしにコイツやと思えるやつがいたらそいつに飯をご馳走してやれるようになれ。」と諭されました。
嬉しかったです。
こういうのを恩送りと言うそうですね。
中途半端に大学も辞めて、とくに何ができるわけでもなくなんの経験も能力もないわたしが赦された気持ちになって嬉しかったです。
久しぶりのロースカツを食べおわりその当時のことを店のご主人に話していると「あれっ、ひょっとしてうちの店の隣のマンションに住んでた◯◯くんのことかな？」「うわっ、そうです。◯◯さんですー！」
「あっ、そうかいな。あいつたまに子ども連れてうちに来てくれてるで。いまはどこに住んでるって言うてたかなー。」って話が展開していくことに。
いやー、人生って祝福でしかありませんね。
とにかくお元気そうでよかったです。
人生100年時代と言われはじめ、いまや折り返し地点くらいになってしまいましたが生きてるっていいもんですね。
出会う人に恵まれてたいした苦労をすることもなく生きてきて、いまもご褒美のような人生です。
