師匠に弟子入りしてから14年、やっと自分の場所で治療院を構えることができました。
いまだに気持ちは駆け出しの頃と変わりませんが一人の治療師としてスタートを切れたように思います。
師匠の治療院ではずっと下積みで最初の1年はほぼ正座で見学をして勉強するだけ。
やっと患者さんに触れさせてもらえるようになっても患者さんを任せてもらえることもなく、師匠や兄弟子が治療している患者さんの手と足を施術していくだけ。
師匠の門下では毎年夏と冬の2回、実技試験と筆記試験があって兄弟弟子はすぐ合格している中、何年ものあいだ不合格のままでした。
そのお陰で何事にもある程度できるようになるとすぐに慢心してしまう私でしたが、ずっと勉強をしていくことができました。
技術的なこともさることながら世間知らずで患者さんへの心配りも行き届いていないことが多く、師匠にはずいぶんとご迷惑をおかけしていました。
技術的にも精神的にも未熟なままですので患者さんからお叱りの言葉を頂戴することも度々あり、私の気持ちが落ち込んでいるときには師匠はその先代である清山先生の話を「いつも師匠はなあ」と話をしてくださっていました。
そしていつも師匠が仰っていたことは「仕事がないときはしっかり勉強せい」でした。
この仕事をとおして人の身体を知るということは、人という存在を知ることです。
生涯をかけても全てを知ることはできないでしょう。
師匠は70を越えてもずっと勉強されています。
わたしからみれば超一流の師匠ですが、きっとご自身の完成にはまだまだと先代の清山先生の背中を追いかけていらっしゃるんだと思います。
祇是未在 (ただこれみざい) 。
未だここにあらず。
わたしもそこに続きます。
やっとこれからです。
松のを治療院 谷本吉隆
京都府亀岡市篠町広田2-34-1
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